ニキビ跡のクレーターは、ニキビの激しい炎症によって真皮層のコラーゲン線維やエラスチンが不可逆的に破壊され、皮膚の支持構造が失われた状態です。 一度形成された瘢痕は自然治癒することが難しく、市販の化粧品や通常のスキンケアでは改善の限界があります。
当院では皮膚科専門医が、クレーターの形状や赤み・色素沈着の程度から、サブシジョン、キュアジェットなどを用いて適切な治療を提供します。
ニキビ跡の種類と病態
ニキビ跡は、その形態と原因によって大きく4つのタイプに分類されます。これらは顔の中で混在していることが多く、タイプに合わせた治療の組み合わせが重要です。
クレーター(陥凹性瘢痕)
重度の炎症によって真皮のコラーゲンが破壊され、皮膚が凹んでしまった状態です 。
大きく分けて3種類のクレーターがあります。

アイスピック型
開口部は2mm以下と小さいですが、垂直に深く突き刺さったような凹み。
ボックス型
底が平らで、境界がはっきりした四角い凹み。
ローリング型
4mm以上の緩やかな凹み。皮膚の下で硬い繊維組織が皮膚を下に引っ張っている(癒着)ことが原因です。

赤み(炎症後紅斑:PIE)
炎症によって血管が拡張・増殖し、炎症が引いた後も赤みが残っている状態です 。

くすみ( 炎症後色素沈着:PIH)
炎症の刺激でメラノサイトが活性化し、メラニンが過剰に蓄積してシミのように残った状態です 。
盛り上がり(肥厚性瘢痕・ケロイド)
組織の過剰な修復反応により、皮膚が硬く盛り上がってしまった状態です 。
治療には、ステロイドの局所注射やテープを使用します。
クレーター(凹み)の専門治療
クレーター(陥凹性瘢痕)は、肌の土台となる真皮層が破壊されているため、セルフケアや表面的なスキンケアでの改善は困難です 。当院では、クレーターの形状に合わせて最適な治療を提案します。
サブシジョン
特に「ローリング型」のように、皮膚の深部で組織が固く癒着し、下方向に引っ張られている場合に不可欠な治療です 。
局所麻酔下で専用の針(カニューレ)を皮膚の下に挿入し、皮膚を下に引き込んでいる硬い線維(癒着)を物理的に切り離します。
- 効果:
引っ張られていた皮膚がその場で持ち上がり、凹みが平坦化します。 - 併用推奨:
剥離したスペースに「ヒアルロン酸」や「ジュベルック・ボリューム」を注入することで、再癒着を防ぎ、コラーゲン再生を最大化します。

TCAクロス
アイスピック型や深いボックス型の凹みに対し、高濃度のトリクロロ酢酸(TCA)をピンポイントで塗布します。
- 効果:
高濃度のトリクロロ酢酸(TCA)を凹みの底に塗布し、意図的に強い刺激を与えてコラーゲンの増殖を強力に促します 。 - 経過:
塗布した部分が一度白くなり、数日後にかさぶたとなって剥がれ、底が盛り上がってきます 。
キュアジェット(CUREjet)
ボックス型の凹みに対し、針を使わずに線維(癒着)を物理的に切り離し、コラーゲンブースター薬剤を注入します。
- マイクロサブシジョン:
マッハの速度で噴射される薬液が、皮膚内部で横方向に広がり、線維の癒着を低侵襲に剥離します。 - メリット:従来のサブシジョンに比べ痛みや内出血が劇的に少なく、ジュベルック等の製剤を均一に導入できるため、広範囲のクレーターに有効です。

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肌育製剤:ジュベルック(Juvelook)
現在、ニキビ跡・クレーター治療において世界的に注目されているのが、ポリ乳酸(PDLLA)を主成分とした注入剤「ジュベルック」です 。

ジュベルックの特徴
- 自己コラーゲンの生成促進:
ヒアルロン酸のように一時的に膨らませるのではなく、自分自身の肌の再生力を高めます。 - 自然な仕上がり:
粒子が丸く小さいため、しこり(肉芽腫)ができにくく、安全性が高いのが特徴です。 - 持続期間:
約1〜2年と長期にわたり効果が持続します。 - 複合効果:
ニキビ跡の凹みだけでなく、毛穴の開きや肌のハリ改善にも寄与します。
レニスナ(Lenisna)との使い分け
- ジュベルック:
粒子が小さく、皮膚の浅い層(毛穴や浅いクレーター)に適しています。 - レニスナ:
粒子が大きく、より深い凹みやボリュームが必要な部位、深いクレーターに使用します。
当院では、ジュベルックやジュベルックボリューム(レニスナ)をキュアジェットを用いて、クレーター部に注入します。
赤み・色素沈着へのアプローチ
色調の変化は、ニキビ跡の中でも比較的改善が早いタイプですが、適切な治療を選択しないと長期化することがあります。
赤み(PIE)治療
赤みの原因は「血管」です。ヘモグロビンに反応する波長を持つVビーム(ダイレーザー)が非常に有効です 。
- 効果:異常に拡張した毛細血管をレーザーの熱で破壊・収縮させ、赤みを改善します 。
Vビーム | 赤みレーザーのページへ
色素沈着(PIH)治療
色素沈着はメラニンの蓄積が原因であるため、ターンオーバー(肌の生まれ変わり)を促す治療が中心となります 。
- ピーリング:
古い角質を取り除き、肌の代謝を活性化させることでメラニンの排出を促進します。 - 内服・外用療法:
トラネキサム酸、ビタミンCの内服や、ハイドロキノン・トレチノインの外用により、色味を薄くしていきます。
施術の経過とダウンタイム
- サブシジョン・キュアジェット:腫れや内出血が1週間〜10日程度出ることがありますが、メイクでカバー可能です。
- TCAクロス:塗布部位に小さなカサブタが1週間程度形成されます。
- Vビーム:数日間の赤みやむくみが生じることがあります。
よくあるご質問(FAQ)
Q. クレーターは何回の治療で治りますか?
A. 瘢痕の深さによりますが、通常1ヶ月おきに3〜5回程度の継続が目安です。 1回ごとに凹みが浅くなるのを実感いただけます。
Q. 痛みはありますか?
A. サブシジョンは局所麻酔を行うため、術中の痛みはありません。 キュアジェットは針を使わないため、ゴムで弾かれる程度の軽い衝撃です。痛みに不安な方は表面麻酔の使用も可能です 。
Q. 昔のニキビ跡でも効果はありますか?
A. はい。10年以上前のニキビ跡でも、組織を物理的に剥離したり再生を促す最新治療であれば、大幅な改善が期待できます。
未承認医薬品等に関する表示
当院のニキビ跡治療で使用する一部の機器・薬剤について、以下の情報を開示します。
- 未承認医薬品等:キュアジェット(CUREjet)およびジュベルック(Juvelook)は、日本国内において医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医療機器・医薬品です。
- 入手経路等:当院では医師の責任において、正規の輸入代行業者等を通じて韓国のメーカーより適正に導入しています。
- 国内の承認医薬品等の有無:国内において、同様の「瘢痕修正」や「コラーゲンブースター」を目的とした承認医療機器・薬剤は限られています。
- 諸外国における安全性等に係る情報:ジュベルックは米国FDAや韓国KFDAの承認を取得しており、キュアジェットも韓国等で広く使用されています。国内未承認のため、副作用救済制度の対象外となります。
柏の葉キャンパス・柏・流山エリアでニキビ跡にお悩みの皆様へ
皮膚科専門医がエビデンスに基づいたデバイスと技術を駆使し、あきらめていた凹凸や赤みに真摯に向き合います。お気軽にご相談ください。
監修:柏の葉スキンクリニック 院長 山下千聡 (日本専門医機構認定 皮膚科専門医)