小児アトピー

小児アトピー性皮膚炎は、単なる「肌荒れ」ではありません。 皮膚のバリア機能の脆弱性を背景に、アレルギー性の炎症とかゆみの悪循環が慢性的に続く疾患です。 ステロイド以外の新しい塗り薬や、乳幼児から使用可能な生物学的製剤が登場し、治療の選択肢が飛躍的に広がっていますので、ご相談ください。

1. アトピー性皮膚炎と乳児湿疹の違い

一般的には、下の特徴がある場合にアトピー性皮膚炎と診断されます。

  1. かゆみがあること
  2. 特徴的な湿疹(左右対称性など)があること
  3. 慢性・反復性の経過:乳児では2ヶ月以上、それ以上の小児では6ヶ月以上続いていること。

「大きくなれば治る」と放置せず、適切な時期に治療介入することが、将来のアレルギー体質を左右します。

2. アレルギーマーチの阻止

乳幼児期のアトピー性皮膚炎を適切にコントロールできないと、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎へと連鎖的に発症する「アレルギーマーチ」を引き起こすリスクが高まります。

経皮感作(けいひかんさ)とは

炎症を起こしてバリアが壊れた皮膚からは、食べ物やダニなどのアレルゲンが容易に侵入します。 これを「経皮感作」と呼びます。 皮膚を常にツルツルの良い状態に保つことは、単に見た目を良くするだけでなく、食物アレルギーなどの発症を未然に防ぐための予防策なのです。

3. アトピー性皮膚炎の治療

 「子供に強い薬を使いたくない」「ステロイドはやめられなくなるのでは?」と不安に思う親御さんは少なくありません。 しかし、アトピー治療で避けるべきは、怖がって中途半端に使い、炎症を長引かせてしまうことです。

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最初はしっかり抑える
炎症が強い時は、適切なランクのステロイドを使って短期間で一気に炎症を抑えます。
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徐々に減らす(プロアクティブ療法)
きれいになったらすぐにやめるのではなく、少しずつ塗る間隔を空けたり、副作用の少ない薬に切り替えたりして、良い状態を維持します。

4. ステロイド以外の外用薬

近年、ステロイドの副作用(皮膚が薄くなる、血管が浮く等)を心配せずに長期使用できる画期的な外用薬が登場しています。

  • コレクチム軟膏(JAK阻害薬):細胞内の炎症シグナルをブロックします。 生後6ヶ月から使用可能で、顔や首などのデリケートな部位にも適しています。
  • モイゼルト軟膏(PDE4阻害薬):炎症を引き起こす物質の産生を抑えます。 生後3ヶ月から使用可能な、極めて安全性の高い非ステロイド薬です。

5. 中等症・重症のお子様へ:全身療法

従来の外用療法だけではコントロールが困難な、かゆみの強いお子様には、以下の先進的な治療が可能です。

  • デュピクセント(生物学的製剤):炎症の根本原因(IL-4/IL-13)をピンポイントで抑える注射薬です。 生後6ヶ月から保険適用となり、劇的なかゆみの改善と炭体の改善が期待できます。

6. スキンケア

薬の効果を支えるのは、毎日の正しいスキンケアです。

  • 「泡」で洗う:石鹸をしっかり泡立て、手で優しくなでるように洗います。 ナイロンタオル等での摩擦はバリア機能を破壊するため厳禁です。
  • 「たっぷり」塗る:保湿剤の量は「ティッシュペーパーが肌に張り付いて落ちない程度」が目安です。
  • 順番のコツ:広範囲に塗る保湿剤を先に、赤みの強い部位にステロイドを後に塗るのが、副作用を防ぎ効率的に塗るコツです。

よくあるご質問(FAQ)

Q. ステロイドを塗ると肌が黒くなると聞きましたが?

A. それは誤解です。肌が黒くなる(色素沈着)のは、ステロイドのせいではなく、放置された「炎症」の結果です。 適切にステロイドを使って早く炎症を鎮める方が、結果として跡を残さずきれいに治ります。

Q. デュピクセントの自己注射は怖いのですが。

A. 当院では、保護者の方が安心して自宅で投与できるよう、丁寧な指導プログラムを用意しています。 ペン型の自動注入器もあり、痛みも最小限です。難しい場合は院内で注射しますのでご相談ください。

柏の葉キャンパス・柏・流山エリアでお子様のアトピーにお悩みの皆様へ

お子様のかゆみは、睡眠や学問の妨げになります。皮膚科専門医が最適な選択肢を提示し、お子様が成長に伴ってアレルギーの連鎖に苦しまないよう、今できる最善のケアを共に考えてまいります。ぜひお気軽にご相談ください。


監修:柏の葉スキンクリニック 院長 山下千聡 (日本専門医機構認定 皮膚科専門医)


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