じんましん

「急に肌が赤く盛り上がり、強いかゆみが出た」「数時間で消えるが、毎日繰り返して不安」「飲み薬を飲んでもぶつぶつが治まらない」このような蕁麻疹の症状でお悩みではありませんか? 蕁麻疹は非常に身近な疾患ですが、その原因は多岐にわたり、中には1ヶ月以上症状が続く「慢性蕁麻疹」に発展するケースも少なくありません 。 当院では皮膚科専門医が、従来の抗ヒスタミン薬による治療から、難治性の方向けの注射療法(ゾレア、デュピクセント)まで、科学的根拠に基づいた専門治療を提供いたします 。

1. 蕁麻疹(じんましん)とは

蕁麻疹は、皮膚の一部が突然赤くくっきりと盛り上がり(膨疹:ぼうしん)、強いかゆみを伴う疾患です。

蕁麻疹の最大の特徴

  • 一過性であること:個々の膨疹は通常、数十分から24時間以内に跡形もなく消えてしまいます 。
  • 形や大きさが変化する:小さな点状のものから、地図状に広がる大きなものまで様々です 。
  • 激しいかゆみ:チクチクとした痛みや熱感を伴うこともあります 。

もし、赤みが消えずに24時間以上同じ場所に残り続けたり、茶色い跡になったりする場合は、「蕁麻疹様血管炎」など別の疾患を疑う必要があります 。


2. 蕁麻疹の分類:期間と原因

蕁麻疹は、発症してからの期間によって大きく2つに分類されます。

  1. 急性蕁麻疹(発症から6週間以内)
    風邪などの感染症、食べ物、疲労などがきっかけで起こることが多く、多くは短期間で軽快します。
  2. 慢性蕁麻疹(発症から6週間以上持続)
    夕方から夜にかけて毎日出現し、数ヶ月から数年にわたって続くこともあります 。原因が特定できない「特発性」が全体の約70〜80%を占めます 。

その他の特殊な蕁麻疹

物理性蕁麻疹

寒冷、温熱、日光、圧迫、摩擦などの物理的刺激で起こります。

コリン性蕁麻疹

入浴、運動、精神的緊張など、発汗を促す刺激で小さな膨疹が出ます。

血管性浮腫(クインケ浮腫)

まぶたや唇が突然パンパンに腫れ上がる症状で、かゆみよりも違和感や熱感が先行します。

3. 蕁麻疹の診断と検査

蕁麻疹の診断において最も重要なのは、生活背景も含め、どのような状況で症状が出るかを伺います。

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血液検査(特異的IgE抗体検査、View39)
特定の食べ物や花粉、ダニなどのアレルギーが疑われる場合に行います。
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一般血液検査
慢性蕁麻疹の場合、背景に甲状腺疾患や膠原病、感染症などが隠れていないかを確認することがあります。

特発性の慢性蕁麻疹では、検査をしても原因が見つからないことが非常に多いです。


4. 治療ステップ

蕁麻疹治療のゴールは、「症状が出ない状態を維持し、薬を飲まなくてもよい状態を目指す」ことです 。

STEP 1:基本治療(抗ヒスタミン薬の内服)

まずは副作用の少ない抗ヒスタミン薬を開始します 。

  • 効果が不十分な場合は、薬の量を増やしたり、別の種類の薬を追加したりします 。
  • H2ブロッカーやロイコトリエン受容体拮抗薬を併用することもあります 。

STEP 2:注射薬治療(ゾレア・デュピクセント)

飲み薬を調整しても症状が改善しない難治性の慢性蕁麻疹に対し、以下の高度な分子標的薬を処方します。

  • ゾレア(オマリズマブ):血液中のIgE抗体に直接結合し、マスト細胞からのヒスタミン放出を根本からブロックします。4週間に1回の皮下注射です 。
  • デュピクセント(デュピルマブ):2024年、特発性の慢性蕁麻疹に対して保険適用となりました 。アトピー性皮膚炎の治療でも実績のある薬剤で、特定のサイトカイン(IL-4/IL-13)を抑えることで、従来の治療で改善しなかった重症の蕁麻疹に高い効果を示します 。

【注意:副作用と費用について】 注射薬は、高い効果が期待できる一方で、注射部位の反応や結膜炎などの副作用のリスク、高額な薬剤費がかかるという側面があります。高額療養費制度や医療費助成の対象となる場合が多いため、専門医と相談の上、計画的に導入します 。


5. 注意すべき症状

蕁麻疹と併せて注意が必要な病態があります。

  • 血管性浮腫(クインケ浮腫):皮膚の深い層でむくみが起こる状態で、唇や目が腫れます。喉に起こると呼吸困難を招くため、速やかな受診が必要です 。
  • アナフィラキシー:蕁麻疹だけでなく、腹痛、下痢、血圧低下、息苦しさなどが同時に起こる全身性の強いアレルギー反応です。命に関わるため、直ちに救急車を呼ぶ必要があります 。

6. 日常生活のアドバイス

治療の効果を高めるためには、日常生活でも気をつけていただきたいポイントがあります。

刺激物を控える:アルコール、辛いもの、熱い飲み物は血管を広げ、症状を悪化させます。

お風呂の温度:熱いお湯はかゆみを増幅させます。ぬるめのお湯で短時間の入浴を心がけましょう。

塗り薬の誤解:蕁麻疹は皮膚の奥深く(血液成分の漏れ出し)で起きているため、市販のかゆみ止めの塗り薬だけでは根本的な解決になりません 。適切な内服治療が基本です。

7. よくある質問FAQ

Q. 蕁麻疹は人からうつりますか?

A. いいえ、蕁麻疹はアレルギー反応や体の免疫バランスの乱れによるものであり、ウイルスや細菌による感染症ではないため、人から人へうつることはありません。

Q. 毎日薬を飲み続けるのは癖になりませんか?

A. 蕁麻疹の薬(抗ヒスタミン薬)には依存性はありません。むしろ、症状が出た時だけ飲むよりも、一定期間しっかり飲み続けて「症状が出ない状態」を脳と体に覚え込ませる方が、結果的に早く断薬できることが医学的に証明されています 。

Q. 子供の蕁麻疹、何に気をつければいいですか?

A. 子供の蕁麻疹は食物だけでなく、溶連菌などの「感染症」が原因で出ることが非常に多いです 。熱がないか、元気にしているかを確認し、繰り返し出る場合は専門医にご相談ください。

柏の葉キャンパス、柏、流山おおたかの森エリアで蕁麻疹にお悩みの方へ

蕁麻疹は、見た目の不快感だけでなく、夜も眠れないほどのかゆみが続くことで、仕事や家事、学業のパフォーマンスを著しく低下させます。

「いつものことだから」「薬を飲めばその場は凌げるから」と放置せず、一度皮膚科専門医にご相談ください。


監修:柏の葉スキンクリニック  院長 山下千聡 (日本専門医機構認定 皮膚科専門医)


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