あざ

子どものあざ(母斑・血管腫)には、自然に消えるものと、消えにくいもの、あるいは放置すると肥厚や合併症のリスクがあるものがあります 。現在の小児皮膚科診療において、あざ治療は「早期治療」が世界のスタンダードです 。赤ちゃんの皮膚は薄く、レーザーの反応が良いだけでなく、あざの面積が小さいうちに治療を開始することで、心身への負担を最小限に抑えることが可能です 。 当院では、皮膚科専門医が正確なあざの診断を行い、保険適応のレーザー機器(Vビーム、Qスイッチルビーレーザー等)を用いて、安全な治療を提供しています。

1. 赤あざ(血管腫)の種類と治療

赤あざは、皮膚の血管(毛細血管)が異常に増殖したり、拡張したりすることで起こります。

乳児血管腫(いちご状血管腫)

生後数週間から現れる、イチゴのように盛り上がった赤いあざです 。

  • 経過: 1歳頃まで大きくなり、その後数年かけて自然退縮しますが、完全に消えず跡(皮膚のたるみや赤み)が残るケースも少なくありません 。
  • 治療: 早期のVビーム(色素レーザー)照射が有効です 。急速に増大する場合や顔などの重要部位にある場合は、ヘマンジオルシロップ(プロプラノロール内服)による治療を検討するため、高次医療機関へご紹介します。

毛細血管奇形(単純性血管腫)

生まれつきある平らな赤あざで、自然に消えることはありません 。

  • リスク: 成長とともに色が濃くなったり、皮膚が厚く盛り上がったりすることがあります 。
  • 治療: Vビームによる治療が第一選択です。赤ちゃんの時期から開始することで、将来的な肥厚を防ぎます 。

サーモンパッチ・ウンナ母斑

額の中央(サーモンパッチ)や、うなじ(ウンナ母斑)に見られる薄い赤あざです。

  • 経過: 額のものは1歳半〜2歳までに自然消失することが多いですが、うなじのものは残ることがあります。

2. 青あざの種類と治療

青あざは、皮膚の深い層(真皮)にメラニン色素を作る細胞(メラノサイト)が存在することで青く見えます。

異所性蒙古斑

お尻や腰以外(手足、背中、顔など)にできる蒙古斑です 。

  • 経過: 通常の蒙古斑に比べ、色が濃いものや範囲が広いものは学童期以降も残ることがあります 。
  • 治療: Qスイッチルビーレーザーやピコレーザーが非常に有効です 。

太田母斑(おおたぼはん)

顔(目の周りや頬、おでこ)の片側に出てくる青あざです 。

  • 経過: 自然に消えることはなく、思春期に色が濃くなる傾向があります 。
  • 治療: 早期のレーザー治療により、ほぼ完治に近い状態まで改善が期待できます 。

3. 茶あざ・黒あざ

扁平母斑(へんぺいぼはん/カフェオレ斑)

生まれつき、あるいは乳幼児期に出現する茶色い平らなあざです 。

  • 治療: レーザー治療に反応する場合もありますが、再発率が高いため、専門医と相談の上でテスト照射から開始します 。

あざの数が多い場合は、神経線維腫症1型(レックリングハウゼン病)などの全身疾患の精査が必要です。

先天性色素性母斑(黒あざ)

生まれつきある「黒いほくろ」の大きなものです。

リスク:巨大なものは将来的に悪性黒色腫(メラノーマ)を発症するリスクがあるため、慎重な経過観察や、手術による切除を検討します。

4. なぜ「早期治療」が勧められるのか

乳幼児期からのあざ治療を推奨するのには医学的な理由があります。

  1. 皮膚が薄い: レーザーが深部まで届きやすく、少ない回数で高い効果が得られます 。
  2. 面積が小さい: 体の成長に伴ってあざも大きくなるため、小さいうちに治療する方が照射範囲が狭く済みます 。
  3. 痛みや恐怖心の記憶: 物心がつく前に治療を終えることで、精神的な負担を軽減できます 。
  4. 合併症の予防: 血管腫の肥厚や皮膚の変形を未然に防ぎます 。

5. レーザー治療の流れと安全性

当院のレーザー治療は、安全性を最優先しています。

1
診断
2
照射
輪ゴムで弾かれたような痛みがあるため、必要に応じて冷却や麻酔クリームや麻酔テープを使用します。
3
アフターケア
照射直後は赤みやカサブタが生じますが、1〜2週間で落ち着きます。紫外線対策が非常に重要です。

6. 費用と助成制度

当院で扱う「赤あざ」「青あざ」「茶あざ(一部)」の治療は、健康保険が適用されます 。

「こども医療費助成制度」を利用することで、実際の窓口負担は自治体の規定額(一回数百円など)のみとなります 。高額な自費診療を心配することなく、お子様に最善の治療を受けさせてあげることが可能です。

よくあるご質問(FAQ)

Q. レーザー治療は赤ちゃんに影響ありませんか?

A. あざ治療に使用するレーザーは、特定のターゲット(ヘモグロビンやメラニン)にのみ反応するため、周囲の正常な組織や成長に悪影響を与えることはありません。外用薬は2〜3ヶ月継続することで効果が安定し、Vビームのレーザー治療は5回程度の照射が目安となります。

Q. どのくらいの頻度で通う必要がありますか?

A. あざの種類によりますが、通常3ヶ月に1回程度のペースで、数回〜10回程度継続するのが一般的です。

Q. 夏でも治療を始めて大丈夫ですか?

A. 治療自体は可能ですが、レーザー後の肌は日焼けをしやすいため、屋外で活動される際は、日焼け止めや衣類による徹底した紫外線対策をお願いしています。

柏の葉キャンパス・柏・流山エリアでお子さまの「あざ」にお悩みの方へ

将来「治療しておけばよかった」と後悔しないために、正しい知識を持つことが大切です。お悩みの方は、一度皮膚科専門医にご相談ください。


監修:柏の葉スキンクリニック 院長 山下千聡 (日本専門医機構認定 皮膚科専門医)


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